- 福山ぶらり歴史紀行
尾市第1号古墳
広島県福山市新市町常
謎の十字形古墳
墳丘に立つと遥か下方に集落を望む。7世紀後半、大化の改新が始まり、大きく時代が変わろうとしている端境期。誰がどのような経緯で、この地に、この不思議な墳墓を造ることになったのか。
全国的にも稀有な古墳は、千年以上経った今も、謎めいたまま、ひっそりと眠る。
滔滔と流れゆく千歳の風景の中、この地の古墳たちは何を語り伝えようとするのか。若葉萌える山は謎を秘めたまま、新しい時代へと移ろっていく。
羨道の奥に3個の石槨が逆T字形に配置され、全体は十字形になっている。全国的にも非常に珍しい7世紀後半の終末期古墳。石槨部と羨道部との境に、はめ込み式の扉石が存在したと考えられている。1984年の発掘調査で多角形の墳丘であることが明らかになった。地方では貴重な例だという。3つの石槨がどういう役割を果たしたのか不明である。
今も残る漆喰の断片。石室全面に漆喰が塗られていたと考えられる。出土遺物は須恵器、鉄釘、鉄滓など。
尾根線に沿って南西に開口した入口部分。表面は土が流れないように黒い土嚢で覆われている。
平らに整えた花崗岩が使用されている。床部分の継ぎ目も加工され、見た目も美しい。
細い舗装路を3分ほど歩くと、左手に古墳に上る道がある。標識はない。
常金丸の消防団器庫の三差路にある看板。周囲には屋敷荒神古墳、神出古墳群、塚久保古墳群など、6~7世紀の多種多様な存在する。
MEMO
県道26号線を北上し日隈自然公園の看板の三差路を光明寺方面へ右折。道なりに約2km。常金丸の消防団器庫の三差路に尾市古墳の看板と説明板。標識通りに300mほど進むと細い舗装路の入口。ここから徒歩で。
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