• 福山ぶらり歴史紀行

服部八幡神社

広島県福山市駅家町

悠久の時の流れと共に社殿を守る大イチョウ

本殿の両脇にそびえる大イチョウは、さながら門神のようである。

イチョウは水分を多く含み燃えにくいため、火伏せとして寺社の境内に植えられる事が多い。それにしても、これほど凛とした姿で社殿を守る大イチョウは見たことがない。参道の先から眺めてみると、その燃えるような黄色に、歴史の深みが一層映えてくる。

創祀されたのは鎌倉時代。初代備後守護の土肥実平と梶原影時が、鶴岡八幡宮から神霊を蛇園山に勧請したと伝わる。古くは蛇園八幡宮と呼ばれていた。戦国時代に泉山城主となった宮下野守信光が永谷に遷座し、最後の城主・宮常陸介信清が現在地に遷したという。祭礼の際、神輿渡御の行事は宮常陸介が執り行うなど、宮氏と関わりの深い神社である。

古代からの歴史を紡ぐ服部の地に祀られた神は、毛利方との激戦や宮氏の敗走を経て、以後長く産土神として江戸時代の人々の安寧を守り続けてきた。

そして今、青く澄んだ秋空の下、今日も静かに連綿と続く歴史絵巻の一頁を描き続けている。

社殿の両側に2本の大イチョウ。神社を守っているかのようにも見える。少し離れた左手には巨大イチョウがある。

高さ約35m、幹まわり6mの県下6位の巨木の大イチョウ。樹齢は不明だが、1000年を超える寿命を持つと言われるイチョウゆえ、遷座当時からのものであっても不思議ではない。ムクノキの大樹もある。他にも樹齢千年余り、幹回り6.5mの大ケヤキの木があったが、平成3年に倒壊。

本殿は三間社入母屋造で前方に長く伸ばされた向拝は唐破風付、その先には幣殿、拝殿が続く。境内には、艮神社、稲荷神社の他に、神楽殿、手水舎、社務所がある。

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