• 福山ぶらり歴史紀行

鞆ノ津の力石

広島県福山市鞆町

仲仕たちの夢の跡、力自慢を競う力石

かつて船から陸への荷降ろしや荷揚げは、船から陸に渡した長い足場板を利用した。船は波に揺れ、細い板はしなり揺れる。この上を、仲仕たちはリズムを取りながら何十貫もの荷を担いで運ぶ。
力自慢の彼らが祭礼の時に、力と技を競って持ち上げた力石。そこには持ち上げた人の名前が刻まれ神社に奉納された。江戸時代から明治時代にかけて力石による力試しが全国各地で行われたが、鞆ほど多くの力石がまとまって残っているのは珍しいという。鞆の津には「東濱・港濱・西濱」の仲仕組合があったが、力石の整った姿から、互いに競い合いながらも統制のとれていた仲仕の社会が推し量れる。

沼名前神社の力石。鞆の浦には23個(沼名前神社19個、住吉神社3個、鞆の浦歴史民俗資料館1個)の力石があり、鞆ノ津の力石として福山市の有形民俗文化財に指定されている。重さは32貫(118kg)から61貫(230kg)。天保15年(1844)から安政5年(1858)の年号が刻まれている。

荷船から長い足場板が雁木に渡され、その上を仲仕が荷を運ぶ。岸には家の名前を刻んだ船止め石が並ぶ。

船止め石。

雁木のすぐそばにある住吉神社。ここに3個の力石がある。

江戸時代から伝わる波止。

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