広島県福山市佐波町

旧佐波浄水場

福山市は水道史と共にあり。

熱砂の照り返しに眩暈(めまい)がしそうである。それでも夏の暑い盛りにこの地に立つことは、福山人としての矜持(きょうじ)を再認識することでもある。
福山市が誕生したのは大正五年七月一日、水道布設のためであった。当時の阿武市長は水道市長とも呼ばれ、悲願である市内への給水はそれから九年もの長き道のりを歩むことになるが、そのために建造されたのが佐波浄水場である。当時のままの姿を残している配水池(はいすいち)、浄水井上屋(じょうすいせいうわや)、門の三施設は、平成二五年三月に国の登録有形文化財に登録された。
浄水場施設全体の面影は薄くなってしまったが、建物ひとつひとつに福山市制施行にかける当時の人々の熱い想いと近代都市発展への希望が託されているようで、胸が熱くなる。

配水池の建物(左の円内)と浄水井上屋(上)。レンガで積みあげられた造形は、近代日本の輝かしい発展の証。現在は(下)の写真のようにフェンスに囲まれている。

現在の貯水池

平成25年に公開された貯水池の内部。アーチ型の高い天井と細い通路が一直線に延び、左右の地下に深さ3.8mの配水池が広がっている。

貯水池入口の上に掲げられた阿武市長直筆の記念額。「不舎晝夜」(ふしゃちゅうや)は不断水を意味する。福山市上下水道局のホームページにも掲載されている。これまでもこれからも福山水道史は福山の誇りであってほしい。