• 福山ぶらり歴史紀行

どんどん池〈蓮池(はすいけ)〉

広島県福山市西町・木之庄町

城下町ふくやまを支えた水がめ

季節は冬、けれど陽光がほんのりと春の兆しをみせる頃、いつもここを訪れたくなる。桜の芽吹きもまだなく、人影を見ることはほとんどないが、それゆえ、鳥のさえずりは心に沁み、水面(みなも)のきらめきに目を奪われる。
市内有数の桜のおすすめスポット、蓮池公園。蓮池が正式名称だが地元の人にとっては「どんどん池」の方が耳馴染みがいいかもしれない。
どんどん池の築造は福山城下誕生と時を同じくする。以来、ダムとして水量を調節する役目の他、塵埃などの沈殿池として浄水池の役目もしながら、明治まで城下の人々に飲料水を供給し続けた、まさに福山の生命線ともいえる大切な池であった。
その時代に思いを馳せていると、この地に生きた数多の人々の平穏な人生が波のように心のひだに寄せてくる。この水で暮らした名もなき人々の生活が、この地を守り継いできたのだ。

かつてはもっと幅が広くだだ広いため池であったが、平成七年に整備され蓮池公園として市民に親しまれている。春には桜並木が美しく、池の周辺には散策できる小径もある。

蓮池川水利組合の「蓮池今昔記」の碑。この東側には、三好章元市長撰文の「蓮池記念碑」が建っている。

蓮池公園から道路を挟んだ西側。こちらもどんどん池の一部である。

白鳥の他、多様な水鳥もやってくる。

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