広島県福山市沼隈町

光照寺

落葉の音に秋を偲び、鎌倉時代の民の声を重ねる

柔らかな陽射しに包まれた境内は静寂に満ち、紅葉の落ちる音さえ一層深く心に染みる。光照寺は西国における浄土真宗の最初の拠点であり、鎌倉時代に創建された。西国の真宗の総本山格として栄華を誇った頃は、広い本堂に信者があふれたことだろう。
江戸時代になると福山城下南側に支坊としての光照寺が建立され、時代の流れとともに山南の光照寺を訪れる人は少なくなっていった。しかし、今でもその威容と格式は境内の隅々にわたり、訪れる者を感嘆させる堂々たる領域である。
静けさの中、秋空を見上げると、七百年の時を越え賑やかな民の声がこだまする。

本堂は文化13年(1816)に再建された。西国の総本山格にふさわしい立派な堂宇である。

多くの民衆が収容できるよう、庇を大きく取り吹放の広縁と落縁が三方に張り出している。西本願寺をはじめ、真宗の寺院に見られる特徴である。

手前に山門。手水舎の向こうには裏門。永禄年間(1558~1570)に建立されたものであるが、当初の材は一部のみ。

鐘撞と梵鐘、山門は、慶長18年(1613)に福島正則が寄進したものという。鐘楼の後世の改造は天井を一部張り替えているのみ。県内では最も古く,規模の大きな四脚鐘撞堂の一つ。梵鐘は和鐘と朝鮮鐘の折衷様式とでもいう珍しい姿をしている。(鐘楼と山門は県重文)