• 福山ぶらり歴史紀行

法鏡山 實相寺

広島県福山市北吉津町

福山の歴史を濃密に感じる場所。

高台を渡る風は涼やかだ。本堂の大屋根越しに臨む福山城天守閣は、思いの外、近くに感じる。ビルのない時代の天守閣はもっと近くに感じられただろう。水野勝種の家老だった上田勘解由直定の菩提寺として、寛文六年(一六六六)現在地に移転されたという。本堂の裏手にある直定の墓所から、天守閣が見える。亡くなった後でも福山藩を見守っていたかったのかもしれない。
阿部家の家老だった内藤家代々の墓石もある。福山の干拓地と城を抱くようにしてあるこの地から、永劫にその繁栄を祈っているのかもしれない。
境内には、他にも神辺城の城門、福山城東外堀の石垣、寄進の石造物など、さまざまな時代の歴史が点在している。過去から未来へ、歴史はつながっていく。「今」は通過点である。過去に対しても未来に対しても決しておろそかであってはいけない。それを肌で感じられる場所である。

本堂は、水野家下屋敷を改築したもので、妙政寺の旧本堂、慶安五年(1652)の棟札があるという。

石畳のスロープを上ると迎えてくれる山門。神辺城の城門を移築したものだという。

明和八年(一七七一)の七面大明神「祈雨願解」の石灯籠。「七面大明神」は霊験顕著であったといい、この年、福山領内が大干ばつに見舞われた際、降雨祈願をし大願成就の証として寄進された石灯籠。他にも嘉永六年(1853)の石灯籠、正徳六年(1716)の法界塔、安永五年(1776)の題目石などがある。

本堂裏手にある上田勘解由直定の墓石。

福山城東外堀の石垣を保存活用。失われかけた石垣は、この地で存続していく。

本堂の大屋根越しに臨む福山城天守閣。

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