• 福山ぶらり歴史紀行

龗神社(たかおがみ神社)

広島県福山市新市町

深山にわけ入りて龍神の降る地あり

龍神様が降り立つにふさわしい地である。清冽な気が漲り、天の高みに指先が触れそうな気高さ。
中世期には金山(かなやま)で空前の賑わいを誇った地であるが、今は照りつける日差しも静寂で、繁栄の幻は陽炎のごとく大気に消えてゆく。
それでも、耳をすませば、何百年もの歳月を越えて人々の喧騒が聞こえてくる、雨乞いに人々が集まってくる、見上げた天空には龍神の姿が垣間見えそうな、そんな不思議な場所である。
創祀以来、備後国主をはじめ、有力な国人領主である宮氏、福山藩主水野氏と時の権力者に庇護され、頼りとされた神社は、今なお訪れる者を魅了する。

現在のタカオガミ神社の本殿。もともとは父尾川の一の滝・二の滝・三の滝をそれぞれタカオカミとして祀ったのがはじまりとされる。延暦18年(799)月入の森白瀧の山頂に宮殿を建立、龍神及び国高依彦神を奉祀。文永3年(1266)市町に社殿を造営し、国高依彦神社を分祭。元弘元年(1331)本殿・拝殿を再建するが寛正3年(1462)大火により町ごと焼失。市町の社地は空き地となり、国高依彦神は龍王社に復遷し八大龍王の相殿となる。その後、本殿、拝殿など何度か建立されるが、明治時代に焼失、同年に再建されている。近年、その歴史を伝えるため国高依彦神社古殿地に石碑が建立された。

麓の集落に参道入口の石碑が建っている。

長い坂を上っていく。急坂だがのぼりやすい。途中石の鳥居があり、そこから先に上っていく。境内から麓をのぞきこむと絶壁に足がすくむ。下界とは別天地である。

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