広島県福山市新市町

戸手天王さん

祇園まつり、戸手が最も熱くなる三日間

正式には「素盞鳴(スサノオ)神社」であるが、「天王さん」の方が通りが良い。古くから牛頭天王を祀る神仏習合の社寺であり、地域と深いかかわりを持ってきた。
いつもは清廉な空気をたたえた静かな神域だが、蘇民将来伝説発祥の地として、夏の茅の輪神事や大祭時には、境内は活気にあふれる。特に「喧嘩みこし」の名で親しまれている大祭(祇園祭り)の三日間は、町じゅうが熱気に包まれる。

中世では鳥居の前に「えのくまの市」が立った。「享保・天明の一揆」ではこの周辺が集合場所となり何百という農民が押し寄せた。その時々の人々のよりどころであった。

明治時代に護国寺に移築された鐘楼門。(神辺町道上護国寺)

「本地堂」。神仏習合の名残である。牛頭天王の本地仏を祀った観音堂で延享5年(1748)建立。現存は全国でも稀で、貴重な建物である。明治の神仏分離令の折り、天満宮として、破却を免れた。

「祇園祭り」のクライマックス「神輿あわせ」には、多くの観光客がつめかけるが、日中の町内巡行もおすすめ。2本の担ぎ棒は安定が悪く、担ぎ手の技量が必要だという。また、観光化はされていないが、前夜の「御山神事」も迫力がある。最大傾斜45度の亀寿山の山肌を500kgの神輿を担ぎ上げる様は圧巻。

文と写真 秋山 由実