• 福山ぶらり歴史紀行

妙見さん

広島県福山市水呑町

清浄なる梵鐘の音が新たな年へと導く

空気が震え、周囲は鐘の音の余韻に満たされる。自然と両の手が合わされ、心の曇りが晴れていく。
梵鐘は、その音で邪気を払い心に清浄をもたらすと信じられている。まして、年の瀬の深夜、遠くから聞こえる鐘の音はまた格別である。一年が平穏だったことを慶び、くる年に向けて心の乱れや穢れを払う。今年もまた、妙見堂の除夜の鐘は福山の夜空に響くのだろう。
妙見堂がある山は「宝山」と言われ、中世以来の鉱山であった。宝暦元年(一七五一)に妙見神を勧請創立。安政五年(一八五八)には能勢妙見大菩薩を勧請創立。現在の正式名称は「妙見教会」であるが、妙見堂とも妙見社とも呼ばれる。地元では昔から「妙見さん」と親しまれ、水呑大橋を渡って散歩に訪れる人も多い。

表参道。とにかく長く急な石段を登り続ける。健康維持のため、妙見さんに登るのを日課にする人も少なくない。

境内からは眼下に福山の町が一望できる。

頂には、大砲岩、烏帽子岩と呼ばれる奇岩石など、巨石が多くある。

文と写真 秋山 由実

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