- 福山ぶらり歴史紀行
医王寺
広島県福山市鞆町
福山 更新:2020年10月16日
視界いっぱいの春を満喫古刹から望む鞆ノ津
江戸時代の町並を今に残す鞆は、ぶらりと散策するだけで歴史を体感できる町である。しかし、きつい坂に息切らせ、それでも訪れてみたいのが医王寺だ。
桃林山慈眼院医王寺は、鞆で二番目に古く、平安時代(八二六年)、弘法大師の開基と伝えられる。本堂は貞享二年(一六八五)水野勝種再建といわれ、本尊の木造薬師如来立像は室町時代中期の作とされる。決して威容を誇る寺ではないが、いぶし銀のような佇まいは、どこか懐かしく人の心をほどいてくれる。
視界に広がるのは、満開の桜、黄色に萌える菜の花、その向こうに小船の浮ぶ瀬戸の海。鐘楼の下に佇んで、鞆の浦を望めば、春の気配が全身に降り注ぐ。
江戸時代、参詣に来た人々は同じように鞆の町並を見おろしたことだろう。鞆の町並こそが歴史であり、文化財そのものなのかもしれない
水野勝成公寄進の鐘楼。鞆の漁師仁右衛門が苦労して鋼を集め鋳造した。
これを聞き及んだ勝成が鐘楼を寄進。寛永20年(1643)正月に完成したという。
(梵鐘は戦時中供出された)
山高帽子を被ったような石灯籠。他所では見かけない形だが、不思議と風景ととけあっている。
医王寺からさらに上へ。「奥の院」からの鞆の浦の眺望。ここまで来る人は少ない。
文と写真 秋山 由実
タグ: 福山
INFORMATION基本情報
名称 | 医王寺 |
---|
※最新の情報とは異なる場合があります。
ご了承ください。