三好教育長に聞く 福山100NEN教育

三好教育長に聞く 福山100NEN教育 第14回

本質の問いと向き合う  〜学校とは…先生とは…教えるとは…学ぶとは…〜

 福山市では、4月6日、全ての市立小学校、中学校、義務教育学校及び高等学校が、一カ月ぶりに開校しました。しかし、その後、新型コロナウイルス感染症の市内への拡大を受け、4月15日から再び臨時休業となりました。この期間の子どもたちの状況や学校再開に向けて、三好教育長からお話を伺います。

—4月から学校再開となりましたが、再び臨時休業となり、一カ月が過ぎました。この間、子どもたちや学校はどのような状況だったのでしょうか。

教育長:新型コロナウイルス感染症拡大防止対策として、3月の臨時休業をはじめ、昨年度の卒業式、新年度の入学式や始業式など、節目となる大切な行事において、参加者や時間の制約をお願いしてきました。保護者の皆様には、多大なるご理解とご協力をいただき、心から感謝しております。

 福山市では、国や県の専門家会議の提言や文部科学省のガイドラインを踏まえ、感染防止対策にも万全を期した上で、子どもの学習機会の確保を図り、教育活動を行ってきました。しかし、その後の感染状況を踏まえる中で、全ての市立小学校、中学校、義務教育学校及び高等学校について、4月15日から5月6日まで臨時休業としました。

 3月と大きく感染状況が変わって実施するこの度の臨時休業は、子どもたちは、家庭学習を基本とし、子どもと保護者の選択による自由登校により学習しています。休業前の二日間は、各校で、授業を行わず「臨時休業中の学習計画表」を作成しました。

 今、多くの子どもたちは、家庭で自分が考えた計画に沿って、自主的に学習している状況です。学校では、教職員が、感染防止対策を行いながら、自由登校してきた子どもの学習支援をしています。また、休業期間が長期に及ぶことも見据え、再開後の教育活動の在り方について議論しながら、再開に向けた準備を進めています。

 今後も状況がどんどん変わっていくことが考えられます。そのときの状況に応じて、急な変更等の対応をお願いすることがあるかと思います。引き続き、皆様のご理解とご協力をお願いします。

—新型コロナウイルス感染の収束が見通せず、臨時休業が続いていることに、子どもも大人も不安を感じているのではないでしょうか。

教育長:感染への不安に加え、子どもが一人でいることや学習面のことを心配される保護者の方の声は、教育委員会にも届いています。子どもたちが学校で学習できない状態が続き、学ぶ機会が制限されていることへの不安は、大きいと思います。また、学習面だけでなく、休業期間中は、子どもたちが、友だちと直接会って話したり遊んだりする機会や運動する機会が減少することなどから、子どもたちの心と身体の健康についても心配されていることと思います。

 実際、家におられる保護者の方は、一日中家の中で過ごす子どもを見ていると、「テレビばかり観ている」「朝から晩までスマホを手放さない」「勉強している時間は少ししかない」など、気にされていることが多いかもしれません。外で働かれている保護者の方は、「家に一人で大丈夫だろうか」「何か危険なことになったりしないだろうか」「一日家で何をしているのだろう」と、心配されることが多いかもしれません。

 子どもによって、家庭での過ごし方はさまざまだと思います。様子を見られていて、ご不安、ご心配なことがありましたら、学校にご相談ください。

 保護者の方のご心配はさまざまだと思いますが、一方で、「洗濯や料理など家の仕事ができるようになった」「自分のやりたいことを思う存分やっている」という声も聞いています。

 先日、ある小学校から、「かえるのずかん」が届きました。2年生の子どもが3月の休業期間中に家で作成したものです。昆虫好きな子で、自分で見つけたカエルの卵を家に持ち帰り、毎日観察を続けたそうです。登校していれば、自由に観察できませんが、休業中だから、見たいときにいつでも見られたのでしょう。「まんまるからおたまじゃくしのかたちになってきた」と、毎日の卵の変化を記録していました。おたまじゃくしが卵から出てくる瞬間の写真には、「9:40」と時刻が書かれていて、これは登校していれば、見られなかった瞬間です。卵から出てきたおたまじゃくしの背中に黒い点が二つあることから、「ニホンアカガエル」というカエルの種類だということも調べていました。

 好きなことだからこそ、どうしても知りたいという気持ちから、調べ始めます。図鑑を見たり、インターネットで情報を集めてみたりしていく中で、いろんな言葉や知識が自分の経験や知っていることとつながり、興味が更に広がっていきます。一人一人の「やりたいこと」「知りたいこと」から学びが始まっていくことこそ、「子ども主体の学び」そのものです。休業期間中の自由な時間の中で、子どもたちには、教科書に基づく計画的な学習とともに、自分の「好き」なことを追求したり、自分の「好き」なことを見つけ、思いっきりやってみたりする時間にしていってほしいと思います。これは、今だからこそ、今しかできない学びだと思います。

 保護者やご家族の皆様には、さまざまな不安が尽きないことと思いますが、どうぞこの休業期間を前向きな学びの機会と捉えていただき、お子様が自分で考え、自分の一歩を踏み出せるよう、見守り励ましてください。

—一斉臨時休業中の学校で、先生たちは自由登校してきた子どもたちへの指導・支援をされながら、今後に向けて何をされていますか。

教育長:休業期間が長期に及ぶ可能性もあります。各校においては、職員の感染リスクを抑えると同時に学校経営を維持(全員が休まなければならない状況をつくらない)するため、分散勤務を命じながら、5月7日からの再開、臨時休業の継続、どちらも想定する中で、教育活動の在り方について、議論・準備しています。

 感染拡大が収まり学校が再開した時、一斉に学習したり活動したりするこれまでの授業の在り方が更に変わる、まさに「学びの変革」のときであると位置付けています。

 教職員の皆さんには私から、今だからこそ、「福山100NEN教育」5年目のテーマである「固定観念・成功体験のリングから踏み出し、すべての子どもたちが持っている自ら学ぶ・学びたいという思いと力を信じてほしい。学ぶとは、教えるとはといった、これからの学校の在り方や教師の役割を考え、議論を深めてほしい」と伝えています。

 これまで経験したことのない困難な状況において、私たち大人の課題解決力が問われています。子どもたちのために、ローズマインド(思いやり・優しさ・助け合いの心)を合言葉に、力を合わせて頑張りましょう。

 私は、子どもたちの課題解決力に大きな期待をしています。

 子どもって本当に凄い!

 

びんまる2020年5月号より