• 三好教育長に聞く福山100NEN教育

三好教育長に聞く 福山100NEN教育 第13回

三好教育長に聞く 福山100NEN教育

第5回  福山学校元気大賞 表彰式

 今年度11月号から、毎月「福山100NEN教育なるほど!インタビュー」の紙面において、「福山学校元気大賞」の表彰の様子を紹介してきました。2015年(平成27年)に「福山学校元気大賞」を創設してから、毎年年度末に、1年間の教育活動の過程やさまざまな結果を総合的に判断して、「福山学校元気大賞 表彰式」が市役所で行われています。今回は、今年度で5回目となる表彰式について、三好教育長からお話を伺います。

─「大賞」「優秀賞」「奨励賞」「特別賞」があると聞いていますが、これらの賞は、どのように選考されているのですか。

教育長:「大賞」「優秀賞」「奨励賞」は、第1次審査で、子どもたちへのアンケートをもとに「学校へ行くのが楽しい」「自分にはよいところがある」「失敗を恐れず挑戦する」など、元気で意欲的に学んでいる中学校区を選考しました。その中から、第2次・3次審査で、子どもたちの主体性、地域への愛着や誇り、先生たちの元気など、各中学校区の子どもたちと先生が、一緒に取り組んできた1年間の教育活動を総合的に判断して決定しました。また、「特別賞」については、知・徳・体の中で、1年間を通して、特に顕著な伸びや変化が見られた学校を選考しました。「福山学校元気大賞」の名前の通り、福山で一番元気な中学校区・学校です。

─今回から盾を変えられたようですね。

教育長:大賞・優秀賞・奨励賞の盾を各賞1点ずつとし、返還制にしました。“優勝旗返還”ならぬ“大賞盾返還”です。盾のサイズを今までの1・5倍にしました。デザインも、これまでの元気大賞のイメージを残しながら新しくしています。裏面には、第1回からの表彰校区・学校を刻み、毎年引き継いでいくことにしました。

 日常の中で、子どもたちが人知れず頑張っていること、誰かのために動いたこと、子どもたちの頑張りを引き出した先生方、地域・保護者の方々の温かいまなざし等を見過ごさず、笑顔と元気を創った結果として、この盾を手にしていただきたいと思います。

─表彰式の中で、その盾を手にされた校長先生、先生方を見られて、どのようなことを感じられましたか。

教育長:代表として挨拶された校長先生や先生の言葉が非常に強いと感じました。一つ一つの言葉がしっかりと届いてきました。日々やってこられたことや想いも含めて、そこには確かな取組があり、事実があるからだと思います。本当の言葉は「非常に強い」と感じながら、聴かせてもらいました。毎年、挨拶の中身がどんどん変わってきているのは、まさに子ども主体の学びに向かった取組が進んでいるからだと思っています。そのときの挨拶の一部を表彰校とともに紹介します。

☆大賞
城北中学校区(西・樹徳・久松台・明王台) 城北中 校長 岡野英俊

「年間5回の校区全体研修を中心に、乗り入れ授業や総合的な学習の時間の交流発表会、中学校の行事への参加など5つの学校で連携し取組を進めてまいりました。2月の小学校での授業研究会では、授業が変わり、子どもが変わった様子が見られ、主体的な学びが着実に進んでいることを実感したところです。この度の賞に恥じぬよう、私たち自身が誇りの持てる校区にしていきたいと思っております」

☆大賞
新市中央中学校区(網引・新市・戸手) 新市中央中 校長 門田剛年

「子ども主体の学びに向けて、特別なことをしているわけではありません。授業者のカラーで授業を創っています。教室は、温かい雰囲気、受け入れる雰囲気があります。その中で、子どもは頑張って解こう、考えよう、伝えようとしています。課題解決に向けて話し合う姿、聞き合い・教え合いも自然と行われるようになっています。全員が考えることを楽しんでいます。本当に、『自慢の子ども』『自慢の先生』です。両者が一緒になって授業を創っています」

☆優秀賞
鳳中学校区(伊勢丘・幕山) 伊勢丘小 教諭 川上志織

「異学年での取組に力を入れ、縦割り班での掃除や地域のグリーンプロジェクトなど、小・中学校の中で、上の学年がリーダーとなり、下の学年と関わり合いながら活動を進めることで、学校内外に関わらず良い関係づくりができています。子どもの興味関心を大切にし、子ども主体の学びを実現していきたいと思います」

☆奨励賞
駅家中学校区(服部・駅家東・駅家西) 駅家中 校長 光成秀博

「私は、毎年自分の決意をしゃもじで提示します。志、飛躍、躍進と続いてきました。今年は笑顔です。生徒全員が考えることを楽しみながら、先生や友だちと多くの関わりをもちながらみんなが笑顔で過ごすことが大切だと思うからです。今回の受賞を糧にそのような学区・校区をつくっていくために今後も校区一丸で頑張っていきます」

☆特別賞
高島小学校  校長 我妻育子

「子どもたちは常に『なぜ?』『どうして?』と疑問をもち、自然いっぱいの環境の中で、友だち同士疑問を解決すべく、考え行動しております。2月28日現在、一人も休まなかった日が42日あります。不登校児童もおりません。子どもたちが元気で、先生たちも元気で毎日一緒に教育活動ができることに感謝しています」

☆特別賞
常石小学校  校長 甲斐和子

「異学年集団での多様な学びの場の創造に取り組んでまいりました。今、自分は子どもの『学び』を尊重できているだろうか、子どもたちは自ら学んでいるだろうかと問いながら、試行錯誤の毎日です。一人一人の『学び』に寄り添いながら、子どもと一緒に楽しみながら学んでいけるように、教職員も成長していきたいと考えています」

☆特別賞
神辺小学校  教諭 大河原洋子

「授業改善を進めるだけでなく、体育発表会などの学校行事も子ども主体になるように、子どもたちが何度も話し合いを重ね、内容を変えてまいりました。教師がひいたレールの上を子どもが言われるままに歩くのではなく、自分たちの考えと責任で行動を起こすことが、大きな成果となり子どもたちの自信につながっていったと捉えています」

☆特別賞
済美中学校  校長 小川誠

「生徒は、授業でも日常でも少しずつですが、確実に変わってきています。これは、小学校の先生方が学びを変えることに取り組んで、子どもたちがしっかり頑張っていることの成果と受け止めています。学びはつながっている・育ちはつながっていることを大切に考え、今後も全員で頑張っていこうと思っています」

─これらの言葉を聴くと、学校は大きく変わってきているのだなと感じました。新学期からが楽しみですね。

教育長:確実に変わってきています。今、学校では、子どもたちが見せる姿や言葉から、改めて私たちの固定観念・成功体験を問い直し、教育課程を見直しているところです。今の状況から一歩踏み出すことによって、見える世界が変わってくると思います。

 3月から一斉休校となり、この一カ月間、まさに答えがない問いに対して、私たち大人の課題解決力が問われている状況が続いています。初めてのこの時をどう乗り超えるのか。このことをポジティブに捉え、大きく一歩踏み出す2020年度にしていきます。

びんまる2020年4月号より

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