三好教育長に聞く 福山100NEN教育

三好教育長に聞く 福山100NEN教育 第42回

第19回福山教育フォーラム

—8月2日(火)に、市内教職員をはじめ保護者、地域関係者などを対象にした「福山教育フォーラム」が、オンラインで開催されました。

—今年度も2200人以上の人が参加されたそうですね。どのような内容だったのですか。

教育長:今年度は「学びを探究するパイロット校」の取組から、子どもたちが学習意欲や知的好奇心を発揮できる授業の在り方、子ども一人一人の学びを促す教師・学校の役割について考えました。全体会の冒頭で私が話をし、その後オンライン上でパイロット校ごとに分かれ、実践発表や専門家による講話、協議等を行いました。

—オンライン上で、いろんなことができるのですね。教育長は、何を話されたのですか。

教育長:六つのパイロット校の目的と概要について話し、その後、7月末にマスコミ等で報道された全国学力・学習状況調査の結果について話をしました。


〈パイロット校の目的〉
「福山100NEN教育」の取組について、環境や形を整えることにとどまらず、中身をつくり、質を深める

*「幼保小学びの接続カリキュラム開発校」(光小・緑丘小)
一人一人の子どもの育ちと学びをつなぐ

*「効果的なITC活用実践研究校」(西小・城北中)
教科の特質に応じた学習端末の活用を研究する

*「地域とともにある学校づくり推進校」(鞆の浦学園・想青学園)
学校・家庭・地域が連携・協働して、教育活動を推進する

*「アセスメントに基づく指導支援実践研究校」(引野小・水呑小)
個別の支援計画をもとに特別支援学級の授業改善を進める

*「学習センター機能を発揮する図書館モデル校」(旭小・神辺中)
読書習慣の定着と学力の向上を図る

*「分析データを活用した授業改善実践校」(城南中学校区・誠之中学校区)
学力調査等をもとに授業改善を進める


—全国学力・学習状況調査の結果について、都道府県別・市町別の平均正答率や各教科等の問題を取り上げ、いろんな角度から分析された情報が報道されていましたね。

教育長:分析したデータや正答率等の数字は、インパクトがあるので記憶に残ります。数字は学力の一側面しか表していないことを前提として、その数字をどう見るのか。例えば、平均正答率が低い問題から何を考えるのか。この問題ができない基に、何があるのかというところを大事に考えていく必要があります。

—それは、どういうことでしょうか。具体的に教えていただけますか。

教育長:例えば、小学校算数の問題全14問中、一番正答率が低かった問題は、「割合」の問題です。市・県・国の正答率は、2割程度でした。「飲み物の量が1/2になっても、果汁の割合は変わりません」と答えた6年生が約2割。そして、約7割の子が、「飲み物の量が1/2になると、果汁の割合も1/2になります」と答えています。

この問題は、数量が変わっても割合は変わらないことの理解を問う問題です。この結果から、多くの6年生が割合の意味が理解できていないことが分かります。ここで、「割合」の問題だけにとどまらず、できないその基に何があるのかを探っていくことが必要です。

—その基には、何があるのでしょうか。

教育長:割合の意味の理解は、数の理解とも言えます。割合の学習につながる内容を次に挙げています。整数、分数、小数、長さ、重さ、速さ、濃度、比例など、それぞれ内容が違うように見えても、すべて数です。一年生でも三年生でも、どの学年の学習内容も、その基には数があり、数の理解なくしては、答えにたどり着けません。数えたり、量を表したりする数という捉えにとどまらず、基準や全体を表す相対的な数もあるということ。この理解が難しいので、多くの子どもが割合で混乱しています。

子どもが最初に数に触れるときは、「1・2・3…」と物を数えるときではないでしょうか。

だから多くの子が、数は物を数えるために存在すると思ってしまいます。そう思っていると、もう一つの数の重要な性質である「相対的な数」の理解が難しくなります。小数や分数、割合や比率の問題を苦手とする子が多いのは、そのためだと思います。数を具体で表してわかりやすくすることだけでなく、具体と抽象の世界を行ったり来たりしながら、子どもたちが数を理解していくことが必要です。

—「割合」と聞くと、いまだに難しいというイメージが残っています。

教育長:そう思っている人は多いと思います。問題を見たとたんに難しそうだと思ってあきらめてしまう子もいます。しかし、目の前で、果汁100%ジュースを半分に分けて、「果汁は何%になった?」と聞くと、「100%」と答えるのではないでしょうか。  6年生にもなると、生活の中で様々なことを経験し、たくさんの知識をみんな持っています。私たち大人が経験したことのないような経験をしている子もたくさんいます。自分がしてきた経験やもっている知識を使えば、答えを出せる。自分で考えたらわかった、友だちと話をしながら一緒に考えたら答えにたどり着いた。そういった経験を授業を中心とした全教育活動の中で積み重ねていくことを大切に考えています。今、多くの学校で、子どもが自分たちで考え、決めていくことが大事にされてきています。その過程を見ながら、本当に子どもたちが考えているのか、我々大人が必要な役割をしているのかと考えていくことが、一人一人が伸びていくことにつながっていくと思います。  今月末には、「学力の伸びを把握する調査」(同じ児童生徒の前年度の学力等と比較することで、子ども一人一人の変容がわかる調査)の結果が届きます。数字をどう見て、日々の授業にどう活かしていくのか、「分析データを活用した授業改善実践校」を中心に取組を進め、発信していきます。

—今後も、それぞれのパイロット校の取組について紹介してください。

教育長:分科会の詳しい内容を含め、すべてのパイロット校の取組の過程や成果は、今後の研修や福山市ホームページを通して、皆さんへ届けていきます。是非、ご覧下さい。