三好教育長に聞く 福山100NEN教育

三好教育長に聞く 福山100NEN教育 第38回

テーマ 多様な学びの場の充実

—新年度がスタートしました。学校を訪問されていますか。

教育長:4月1日から小・中・義務教育学校を合わせて、38校訪問しました。(4月18日現在)学校へ行くと、春爛漫色とりどりの花が咲き、自然と「動きたい」という気持ちがわいてきます。子どもたちや先生は、もっとそんな気持ちをもっているだろうと思います。
コロナ禍3年目。新年度がスタートして、学級閉鎖となっている学校もあり、まだまだ心配な状況が続いています。学校では、いろんな制限がある中、できることを探して日々の教育活動を進めています。

—今年度、新しく開校した5校を紹介してください。

教育長:4月1日に開校した5校を訪問しました。先生方は、協議したり、始業準備をしたり、元気に新年度をスタートしていました。
それぞれの学校の特色を紹介します。

☆ 想青学園

小学校5校(内浦小・内海小・千年小・常石小・能登原小)と中学校2校(内海中・千年中)を再編し、本市2校目となる義務教育学校として開校しました。新教科「SOSEI学」(ふるさと学習)を創設し、コミュニティ・スクール(※)を導入するなど、「かかわる・つながる」ことを大切にしながら、教育活動を進めていきます。

☆ 常石ともに学園

1~3年生、4~6年生の異年齢集団で教育活動を行うイエナプラン教育校として開校しました。全国から児童を受け入れ、どの子も自分らしく成長できる学校をめざします。サークルでの対話を大切にしながら、各教科を学ぶ「ブロックアワー」と、教科で学んだ知識を活用しながら探究する「ワールドオリエンテーション」を中心に、教科・学年を超えて学んでいきます。

☆ 広瀬学園小学校 ☆ 広瀬学園中学校

福山市全域から通学できる小中施設一体型特認校として開校しました。大きな集団で学ぶことがしんどい子どもを対象に、一人一人のペースを大事にしながら各教科の基礎基本の確実な習得を図ります。新教科「広瀬タイム」では、広瀬地域の豊かな自然環境を教材にして、栽培、ものづくり、観察・実験、調査など、体験的に学習していきます。

☆ 新市中央中学校

旧常金中と旧新市中央中を再編して開校しました。旧常金中の「ふるさと学習」と旧新市中央中の「企業探究」を組み合わせて、地域の歴史、環境、文化、産業について探究します。地元企業と連携しながら、外部人材や様々な地域資源を活用した体験活動を通して、地域貢献につなげていきます。「達成感・感動・郷土愛」を学校目標とし、学校・地域行事に積極的に取り組みます。

4月9・10日には、5校の開校式が行われました。すでにそれぞれの学校の特色が、会場に表れていると感じました。私は、最初の開校宣言と、その後の新しい校旗を校長に授与する役割でした。緊張とともに、開校までのいろんな想いが一気に押し寄せてくる時間でした。各学校には、これまで取り組んできた教育活動、そして地域の方々の思いがあります。歴史と伝統を大事にしながら、新しい学校、新たなメンバーで、それぞれがめざす学校をつくっていきます。

—5校の開校により、さらに学びの場が広がりましたね。以前、多様な学びの場の一つとして校内・校外フリースクールについて紹介していただきました。その後の様子を教えてください。

教育長:校内フリースクール「きらりルーム」や福山市フリースクール「かがやき」は、子どもたちが自分で時間・場所・内容を決めて、自分のペースで学ぶことができる場所です。
「きらりルーム」は、2018年(平成30年)に東・城南・城東・中央・誠之・神辺中学校の6校、2019年(令和元年)に曙・新涯小学校の2校に設置しました。その学校に在籍している児童生徒であれば、誰でも利用できます。
「かがやき」は、北吉津町・引野町・松永町の市内3カ所へ設置しています。福山市立学校に在籍している子どもは、利用日を在籍校での「出席」としています。利用者数が年々増加する中、今年度は、「サポート計画の作成と活用」を重点に取り組んでいきます。在籍校との連携、アセスメント(実態把握・分析)等により、利用する子どもの実態に応じたより適切な支援を充実させていきます。また、必要に応じて、専門的な知見がある方から助言をいただきながら、職員のスキルアップ、サポート計画の充実を図っていきます。
その他の取組として、一人一台端末を活用して、各学校が配信する授業への参加、担任とのオンライン面談、デジタル教材の使用を可能にします。また、3カ所合同でのスポーツ大会、デイキャンプ、きらりルームと合同での活動も計画しています。
「きらりルーム」「かがやき」での活動の様子を広く市民の皆様に知っていただくため、一昨年から市役所一階市民ホールで、合同作品展示会を行っています。昨年度は、3月14日~18日まで、子どもたちが取り組んだ作品等を展示しました。来場者からは、「子どもたちの可能性・持っている力を感じた」「芸術家タイプ・学者タイプ…本当に個性!それぞれの良さが見られました」「力作がたくさんあり、元気をもらいました」「次回も是非、展示会を開いてください」などの声が届いています。
今後もフリースクールが、「居心地のよい場所」にとどまらず、一人一人の思いや願いが実現でき、自分の成長を実感できる場所となるよう取組を進めていきます。

—学校図書館も多様な学びの場の一つですよね。改装がずいぶん進んでいるのではないですか。

教育長:皆様のご寄付をいただきながら、2019年度(令和元年度)から改装をスタートし、3年間で小中義務教育学校合わせて60校の改装ができました。あと40校を2年間で改装し、すべての学校図書館整備が終了する予定です。
学校図書館は、「学習活動の場」「読書活動の場」であるとともに、「安らぎの場」でもあります。子どもたちがリラックスして読みたい本や必要な本を手に取り、興味を広げ、想像を膨らませることができる学校図書館に改装しています。
これまで多く置かれていた文学作品に加え、様々なジャンルの本にふれることができるよう、自然科学や社会科学の図鑑を増やし、バランスを取りながら本をそろえています。また、カーペットやソファー、ぬいぐるみなどを配置して温もりのある雰囲気をつくっています。
改装を終えた学校の子どもたちから「今までは少なかった宇宙や自然の本がたくさん入ってうれしい」「シールやパネルが貼ってあるので、どの場所にどんな種類の本があるのかが分かりやすい」などの感想が届いています。
今年度は、改装完了校のうち2校を学校図書館モデル校に指定します。指定校は、子どもたちの読書習慣の定着、学力向上を図るために、読書・学習・情報センター機能を発揮する学校図書館運営のモデルを提案していきます。

—どんな実践が提案されるのか楽しみです。多様な学びの場の広がりは、子どもたちの可能性を広げていくことにつながりますね。

教育長:そうですね。子どもたちにとって望ましい教育環境を常に考え、皆様の御支援をいただきながら、多様な学びの場の充実に取り組んでいきます。

びんまる5月号より