三好教育長に聞く 福山100NEN教育

三好教育長に聞く 福山100NEN教育 第25回

第6回「福山学校元気大賞」表彰式

毎月「福山100NEN教育なるほど!インタビュー」の紙面に「福山学校元気大賞」の表彰の様子を紹介しています。2015年(平成27年)に「福山学校元気大賞」を創設してから、毎年年度末に、1年間の教育活動の過程や結果を総合的に判断して、「福山学校元気大賞 表彰式」が行われています。今回は、今年度で第6回目となる表彰式について、三好教育長からお話を伺います。

—今回の表彰式は、オンラインで開催し、全校を「大賞」として表彰されたそうですね。

教育長:そうです。毎年「大賞」「優秀賞」「奨励賞」「特別賞」を決定し、表彰式を開催していましたが、今年は全ての小中高等学校・義務教育学校を「大賞」としました。
今年度は新型コロナウイルス感染症拡大により、約1カ月半、臨時休業しました。6月の再開からは「学校の新しい生活様式」に基づく学校生活が始まりました。各学校は「子どもの学び」を中心に議論を深め、学校の役割を考えながら、状況に応じた取組を進めてきました。これまで当たり前に行ってきたことができなくなる中、子どもたちとともに試行錯誤しながら行われてきたチャレンジ全てが、素晴らしいものでした

—だから、全校「大賞」なのですね。臨時休業中も、再開後も、各学校のさまざまな取組を紹介していただきましたよね。

教育長:臨時休業中は「使えるものから・できることから」という意識で、学びを止めない取組が各学校で行われてきました。例えば、
*オンラインを活用した子どもとの交流
*長期休業中だからできる探究など、子どもが自分で決めて取り組む家庭学習
*自由登校日の時間を教科や学年で区切った質問タイムの設定
*必要に応じた家庭訪問及び個人面談…等
このような取組を通して、休みがちな子が登校したり、なかなか集中できないと思っていた子が、興味あることに熱心に取り組んだりする姿が見られました。こうしたことから、教職員の多くが、改めて子どもたちの学ぶ意欲を実感しています。
 再開後は、感染症対策を確実に行いながら、授業内容はもちろん、みんなが集まる学校だからこそできる行事なども大切にするため、教育課程の見直しを進めてきました。
表彰式の中で、幕山小学校・久松台小学校・培遠中学校の3校に、取組の具体を発表してもらいました。その一部を紹介します。
* * *  幕山小学校  * * *

4月5月に予定していた遠足・運動会が中止になったことから、ある子どもが、月1回運動会・幕山スタンプラリーを提案し、企画書を作成した。そのことをきっかけに「学校行事とは?」と学校全体で問い直した。その中で、教師が決めて行ってきた教師主導の学校行事から、子どもが自分たちで創る学校行事へと見直していった。修学旅行も、「何のために」という目的から子どもたちが考えた。見学地をすべて自分たちで計画し、旅行会社と交渉して、旅行プランを決定していった。学校行事は、教員が創るものではなく、子どもたちが創っていくもの。これからも教職員は、子どもたちを信頼し、任せて支える伴奏者となって、子どもたちとともに学校行事を創っていく。
* * *  久松台小学校  * * *

みんなが楽しく安全に過ごすために、5・6年生できまりを考え、自ら守るものにしていった。きまりを見直す中で、制服と私服の選択性を導入した。子どもたちは、「今日は、図工があるから汚れてもいい服装にしよう」など、日々考えて服を選択している。学校行事についても、みんなが楽しく行うためには、どうすればいいかを子どもたちが考えた。運動会は、徒競走と障害物走を選択するなど、子どもたちが内容を決め、運動を楽しむ一日となった。授業では、子どものつぶやき、スピード、興味を大事にし、子どもの自然体の学びを促すようにしている。このような取組から、子どもたちにとって学校が窮屈ではなく、わくわくする場になってきている。
* * *  培遠中学校  * * *

休業中に学びの本質を問いながら、カリキュラムマップの修正を行った。グーグルアカウントが配付され、G suiteを活用したアンケートで生徒の実態把握を行い、学校再開を迎えた。生徒会は、コロナ対策を考えたり、Zoomで生徒総会を行ったりして、質の高い討議をしている。授業では、子どもが問題を発見し、探究していくことを大事にしている。平和学習やSDGsプレゼン大会などの学習では、課題に気付き、より良くするためにさまざまな意見を出し合うことができた。今後も、教育内容の質を上げていく準備をしている。今年の目標は、「Well-beingの実現」「SDGsの実現」「自己を認識し、自分の人生を選択し、表現することができる力を育てる」

—3校の発表からも、学校再開後、子どもを中心とした取組が各学校で進められてきたことがわかります。これらの取組が、今後「学びが面白い!」の深化につながっていくといいですね。
教育長:2016年(平成28年)に「福山100NEN教育」を宣言し、この5年間を振り返ると、子どもの姿、教職員の姿、学校の姿が大きく変わってきたなと実感しています。6年目に向けて、この間取り組んできた「子ども主体の学び」を着実に進めていくため、教職員が主体となって研修の仕組みを見直したり、次年度の取組を考えたりする「飛び出せ!プロジェクト」を立ち上げました(2020年11月号に掲載)。参加した107人の教職員が、授業・研究、研修、働き方、ICT活用などをテーマにアイディアを出し合い、教育委員会と一緒に新しい仕組みを考えました。この仕組みが動き出すことで、教職員一人一人の「学ぶということ」への理解が深まり、すべての子どもたちが、「学びが面白い!」と実感する「子ども主体の学び」が充実していくと思っています。
新学期には、市内全ての学校・園で、一人一台学習端末が使える状態になっています。授業では、調べ学習、表現活動、遠隔地との意見交流、教材を使った繰り返し学習などで活用し、子どもたちの興味・関心、ペースに応じた学びを充実させていきます。子どもたちが体験的・対話的に学ぶことと、学習端末をバランスよく組み合わせていくことで、学びがさらに深まっていきます。リアルとデジタル、両方必要だということで、「リアル&デジタル『学びが面白い!』の深化」を「福山100NEN教育」6年目のテーマに掲げました。今年度も「子どもたちが、どのように学び、理解していくのか」という学びの本質に立ち、全ての子どもたちが仲間とともに、学び続ける力で未来を切り拓いていけるよう、「子ども主体の学び」をさらに追求していきます。

びんまる2021年4月号より