村上豊のやさしいルアー専科

　今回は、ルアーで狙うシーバス釣りを紹介します。スズキやセイゴなどを総じて「シーバス」と呼びます。シーバスが餌をどう猛に追いかけるゲーム性の高さと、引きの強さは釣り人をとりこにし、海のルアー釣りの代表的な存在です。シーバスは年間を通して昼夜問わず狙える上に、身近な河口や防波堤に生息しているので、思いもしない大物に出合える魅力を秘めています。その半面、頭が良く攻略が難しい魚です。攻略するには、捕食している餌を見つけることが近道。餌に似たルアーを使用すれば簡単に釣れることもあるのですが、餌を知るのは非常に難しく、そこも釣り人をとりこにする理由だと思います。「シーバスがイワシに夢中だ」と友人の哲丸さんから連絡があったので、尾道の桜に春を感じつつ、期待に胸を躍らせて船でのシーバス釣りに挑戦してきました。 使用するのは金属で出来た重たいルアー「メタルジグ」。海底まで落として、リールで糸を巻き取りながら、竿の動きで逃げ惑うイワシの姿を演出します。わずかな動きの違いで釣果に差が出る上、捕食する餌に近いシルエットに近づけることが釣果につながるので、小さな餌に合わせた軽量なメタルジグにロッドとリールを組み合わせて使用しました。この釣り方は「ライトジギング」といい、同船者と共に釣れる方法を探りながら、シーバスに挑みました。この日は本命だけでなくチヌやマダイまで釣れる状況で、海中では逃げ惑うイワシと捕食者たちの熾烈なドラマが繰り広げられていたに違いありません。友人の的確なガイドがあ って釣果に恵まれましたが、船釣りでもシーバス攻略は簡単ではありません。日常的に行われている魚たちの食物連鎖に巡り合うには、どうすればよいでしょうか。それには釣り場に通い、時には釣具屋さんなどで情報を収集したり、魚の動向を知ることが大切になるでしょう。今回は船釣りを紹介しましたが、岸からもさまざまなルアーで狙える多様性のあるターゲット・シーバスの魅力をお伝えできるよう、励んでいこうと思います。