三好教育長に聞く 福山100NEN教育

三好教育長に聞く 福山100NEN教育 第20回

「飛び出せ!」プロジェクト

 「福山100NEN教育」の更なる推進に向け、教職員主体の「飛び出せ!プロジェクト」が立ち上がったと聞きました。今回は、このプロジェクトについて、三好教育長からお話を伺います。

—「飛び出せ!プロジェクト」とは、どのようなものですか?

教育長:「福山100NEN教育」5年目を迎えた今年、学校は、新型コロナウイルス感染症の影響により、長い臨時休業を経験しました。また、再開後も、感染症対策を行いながら、日々の学校生活を送っています。WithコロナからPostコロナへ、学びの環境、学校の役割が大きく変わる中、この間、取り組んできた「子ども主体の学び」を更に加速させるために、教職員が主体となってアイディアを出し合う会議です。

—「福山100NEN教育」5年目のテーマは、「踏み出す!」。今度のプロジェクトは「飛び出せ!」なのですね。

教育長:踏み出して、さらに“飛び出す!” “飛び出せ!プロジェクト”“飛びプロ”です。

—プロジェクト名から勢いが感じられますね。この「半沢直樹バージョン」のロゴも面白いです。

教育長:最終回の視聴率は、30%の大台を突破したドラマ『半沢直樹』にちなんで「福山100NEN教育」のロゴをアレンジしました。と言うと聞こえは良いですが、ほぼほぼ、いただきました。「やられて嫌なことは、やり返さない!」私たちが、今、ここにいることへの「感謝」。その想いを込めて、何処に、誰に、何を「恩返し」していくのか。まさに、ローズマインド(思いやり 優しさ 助け合いの心)だと思います。

 そして、小さい文字ですけれど、「福山百年教育」の左に、「日曜劇場」ではなく、「日常劇場」と入れました。特別な日、年に1回のバースデー、記念日も大事だと思います。でも、私たちの日常、毎日がそれぞれの劇場です。

 そして、毎日の学校の中心に「学び」があります。強(し)いて勉(つと)める「勉強」ではなく、「学ぶ」。全ての子どもたちの「わかった!なるほど!面白い!だからもっとやりたい!知りたい!伝えたい!」に向け、107人のカラフル・パワーを思う存分発揮してほしいという思いをこのロゴに込めています。

—「107人」というのは、集まった教職員の人数ですか。

教育長:そうです。はじめは「30人〜40人」で募集をしたのですが、さまざまな職種の教職員から、およそ70名の希望があったんです。当初考えていた人数の2倍の希望があり、皆さんと一緒にやりたい、皆さんにやってほしいと思いました。

 そして、「もしかすると、少し躊躇してしまったり、まだ、悩んだりしている人がいるかもしれない」と思い、再度募集をしてみました。結果、最終的に校長(8人)、教頭(11人)、教諭(81人)、養護教諭(3人)、栄養教諭(1人)主事等(3人)、計107人の応募がありました。

—「飛び出せ!プロジェクト」では、どのようなことが行われていくのですか。

教育長:プロジェクトの目的は「『学びが面白い!』の深化を通して、『子ども主体の学び』を加速させる」ことです。この間「学びとは」「教えるとは」「できるとは」「わかるとは」「学校とは」「教育とは」という問いに、正面から向き合ってきました。

 そこから更に、「新しいことを知ることができてうれしい」「問題を解決する過程が楽しい」など、「学びが面白い!」の質を深めていくために、「授業・研究」「研修」「働き方」「ICTの活用」の4つのプロジェクトに分かれて、取組や仕組みなどを考え話し合います。

—今までも「学びが面白い!」の具体的なエピソードをたくさん紹介していただいています。今回、「学びが面白い!」の『深化』とされているところに想いを感じました。

教育長:「学びが面白い!」ということは、「やった、できた。わかった」ということと強くつながっています。「やった、できた。けれども、わかっていない」ということの繰り返しは、いくらやっても「面白い!」にはつながりません。繰り返せば繰り返すほど、子どもたちは、わかっていないから、だんだんと元気がなくなり、学ぶ意欲も低下していきます。

 計算のトレーニングをすれば、その結果、答えを出すことはできるようになります。しかし、たった3行の文章題の中に数字が入ったときに、たし算を使うのか、ひき算を使うのか、かけ算なのか、わり算なのか、そこがわからなくなる。自分で文章を読んで、式を立て、答えを出すことができない。そういう状態の中で、1年生から6年生、そして中学生へつながっていっています。

 文章を読み、計算もできる。答えを出せるから、大人も子どもも「わかったつもり」になってしまいます。それは、正解だったから嬉しい、百点だったから満足という気持ちになっても、「学びが面白い!」という実感にはつながりません。

 「もっと知りたい、なるほどなぁ、だからなんだ」と子どもたちの学びが深化していくためには、どうしたらいいのか。この問いに対して、107人のカラフルなパワー、まさにそれが突破力だと思っています。

—この目的に向けて、各プロジェクトでは、どのような内容を考えていくのですか?

教育長:各プロジェクトの人数やテーマ別グループ、考える内容などを紹介します。

●PJ1「授業・研究」(小…24人 中…12人)
*テーマ別グループ ①学力 ②学び合い ③学習評価 ④子ども主体の学びとは ⑤カリキュラム ⑥探究学習
・各学校が主体となって「学び」を理解し、日々の授業を中心とした「子ども主体の学び」を進めるための研究や授業

●PJ2 研修(小…5人 中…3人)
*テーマ別グループ ①一斉研修 ②任意研修
・教職員が「学び」についての理解を深め、主体的に日々の教育活動で実践するための研修

●PJ3 働き方(小…14人 中…13人)
*テーマ別グループ ①教育活動・勤務時間 ②一日の過ごし方 ③時間外在校等時間45時間の実現
・これまでの当たり前をゼロベースにして、業務改善を進め、授業を中心として子どもたちと向き合うために必要なこと

●PJ4 ICTの活用 (小…20人 中…16人)
*テーマ別グループ ①ICTの研修について ②子ども主体の学びのためのICT有効活用法 ③Google Classroomを日常的に使用することの有効性 ④有償アプリの有効性と普段使える学習アプリ ⑤ICTを使用した校務支援の推進
・子どもが文房具のような感覚で端末を活用し、新たな学びのきっかけにつなげていけるICTの活用

 107人すべての教職員が希望したプロジェクトに所属し、そこから、テーマ別グループに分かれていきました。

—各グループでテーマを決めて、協議を進められたのですね。今後はどうなる予定ですか。

教育長:それぞれのグループごとで自主的に集まり、テーマに沿って議論を進めていきます。12月3日㈭にプロジェクト会議「第二対話」を計画しています。そこで、各プロジェクトで考えた取組や仕組みなどを交流・協議しとりまとめていく予定です。

 約2カ月にわたるこの「飛び出せ!プロジェクト」を通して、“子どもたちが元気!教職員が元気!”な学校・教室を教職員の代表と教育委員会と一緒に考え、全校の取組にしたいと考えています。会議の様子は、福山市教育委員会HPで、紹介していきますので、ぜひご覧ください。そして、保護者の皆様の声も、学校や教育委員会に届けてください。

びんまる2020年11月号より