• 三好教育長に聞く福山100NEN教育

三好教育長に聞く 福山100NEN教育 第5回

三好教育長に聞く 福山100NEN教育

業務改善について

—6月28日、文部科学省が、教員の働き方改革の一環として、夏休み中に休日を取れるように、夏季休暇中の業務を減らすことを求める通知を出したことがニュースになりました。教員研修や部活動などの実施を見直し、一定期間の学校閉庁日を設けることなどが主な内容となっているそうですが、福山市では、どのように取り組まれているのですか。

教育長:昨年度から、夏休み中の一斉閉庁日を設定し、実施しています。今年度は、8月13日〜16日です。緊急の連絡先は、教育委員会としており、昨年度は、事故などの緊急連絡はありませんでした。

 また、部活動においても、普段から、土日のどちらかを含む週2日以上の部活動休養日を実施しており、夏休み中もそれに準じています。これらの取組は、昨年8月、国や県の方針を踏まえて策定した「学校における働き方改革取組方針」と「運動部活動の方針」に示し、取り組んでいるところです。

—福山市の「学校における働き方改革取組方針」は、どのような内容ですか。

教育長:2020年度までを期間として、①授業づくりを行う時間の確保「授業づくりを行う時間が確保されている」と感じる教員の割合が80%以上②長時間勤務の縮減「時間外勤務時間が月45時間を超える教職員が0人」を目標に4つの柱で取組を進めています。

 柱の1つ目は「教員が本来行うべき業務に専念できる環境の整備」です。

 例えば、教員の授業以外の業務を行うために、学校にいろんな役割を持った方が入っています。今年度で言えば、小中一貫教育推進補助員3名、学校図書館補助員24名、校務補助員105名(内、県費で12名)の皆さんに学校に入ってもらい、教職員が「元気に笑顔で」子どもたちと関わり、授業の準備がしっかりできるようにしながら働き方改革に取り組んでいるところです。

 また、教育委員会から保護者の皆様へ、17時以降の学校への電話を控えていただくこと、緊急の場合は、教育委員会に連絡していただくことをお願いしています。

 2つ目は「部活動にかかる教職員の負担軽減」です。「運動部活動の方針」を基に、部活動休養日の実施とともに、指導や引率などを行う「部活動指導員」の配置を進めています。市全体で56名の配置を計画しており、7月末現在、26名を任命しています。興味をお持ちの方、詳しく知りたい方は、教育委員会学事課(084・928・1112)にお問い合わせください。

 3つ目は「学校における組織マネジメントの確立」です。入校・退校時刻の正確な記録を通して勤務時間を把握し、学校が主体となって、教職員の働き方や時間、子どもの姿を見ながら見直しています。

 4つ目は「教職員の働き方に対する意識の醸成」です。教職員は本当に真面目です。子どものためなら時間を惜しみません。教材研究など授業の準備はやり始めたらきりがありません。子どものノートを見たりコメントを書いたりするなど、「やったらいいなということ」はたくさんありますが、それをどこで切り上げるかという教職員の意識を変えていくことが必要だと思います。保護者の皆様の御理解、御協力をお願いします。

—文部科学省は、働き方改革の目的を、教員が「自らの授業を磨くとともに、その人間性や創造性を高め、子どもたちに対して効果的な教育活動を行うことができるようにすること」としています。具体的には、どういうことでしょうか。

教育長:例えば、子どもたちは、休日にどこかへ出かけて、経験したり感じたりしたことが、教室で学ぶことと確実につながっていきます。教員も一緒です。休みに疲れて寝る時も当然あると思いますが、外に出かけ、遊んだりうれしかったり感動したりしたことが、次の月曜日からの子どもと一緒の時間や授業の中に入り込み、子どもの学びに届いていくのだと思います。

 働き方改革は、教員を楽にすることだと思われていらっしゃる方もいると思います。仮にそうだとすれば、何のためにするかということです。

 例えば、子どもから話しかけられても、「ちょっと待って」「後で」と答えてしまうことがあります。それは、宿題やノートを見るなど、子どもたちのためにやることがあるからなのですが、やっぱり子どもの話を聞いて、一緒に話した方がいいと思うんです。その瞬間の子どもの発見や気付きがあり、その時だからこそ、先生に伝えたいこと、話したいことがあるのですから。

 だから、それができない何かがあるのなら、その何かを減らす必要があると思います。楽になった先生たちが、子どもと一緒に考えたり遊んだり、子どもの声を聞ける時間をつくりたいのです。

 また、学校では授業の時間が一番長いのですから、授業を通して子どもと会話したり面白がったりしてほしい。子どもたちが疑問に感じたり知りたいと思ったりしたことを、一緒になって探してほしい。そのための、教材研究や授業準備をする時間をとれるようにしたいというのが働き方改革であると考えています。

 だから、決して「先生が楽になる」ということではなく、子どものためなんだということを理解していただきたいと思います。

—先生方の元気や充実感が、子どもたちの学びに繋がっているのですね。

教育長:はい。教員の仕事は、創造的なものです。自分自身が、感動したり嬉しかったりすること、元気であることが、そのまま子どもの学びに必要ですし、そこが教員に求められていると思います。

 子どもたちは、教員や大人のいろいろな姿を見て育ちます。我々大人が、日々の中で子どもに何を伝えられているのかと考えたとき、子どもの年齢やさまざまな状況にもよりますが、そのままを話したり見せたりすことで、子どもが深く考えたりわかったりする機会になるのかなとも思います。

 「学校における働き方改革取組方針」と「運動部活動の方針」は福山市教育委員会のHPに掲載していますのでご覧ください。また、各学校からも、さまざまな機会を通じて保護者や地域の皆様にお伝えていると思います。これからも、しっかり取り組んでいきます。

びんまる2019年8月号より

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