- 三好教育長に聞く福山100NEN教育
三好教育長に聞く 福山100NEN教育 第8回
三好教育長に聞く 福山100NEN教育
学校元気大賞について
今月号から、「福山100NEN教育 なるほど!インタビュー」の紙面において、「福山学校元気大賞」の表彰の様子を紹介します。そこで、今回は「福山学校元気大賞」について、三好教育長からお話を伺います。
─「福山学校元気大賞」について教えてください。
教育長:子どもたちの主体的な活動、教職員の丁寧な取組、学校・中学校区、地域が一丸となった教育活動において、結果のみならず、取組の過程に着目し、表彰することを通して、みんなに元気になってほしいとの思いで、2015年(平成27年)9月に創設しました。
─「福山学校元気大賞」創設のきっかけは何ですか。
教育長:私は、今でもアポなしで学校へ行き、授業や休憩時間などの子どもたちや教職員の様子を見たり一緒に話したりしています。突然行くのですから、特別なことを計画してもらって見るのではなく、日常の子どもたち、先生方の姿そのものを見ています。
その中で、子どもたちや先生方が毎日元気に頑張っていることを実感するとともに、「すごい!」と驚いたり感動したりすることがたくさんあるんです。2〜3時間の中でもそんな姿を見るのですから、学校の中はもちろん、学校以外の場でも、普段は見過ごされていたり、当たり前のように行われていて気付かれなかったりすることがたくさんあると思いました。
年度の終わりに、市や県が主催する、子どもたちの活動、教職員や学校の取組などの表彰はあります。また、音楽の発表会や陸上大会、部活動など、素晴らしい記録や結果に対する表彰も、色々な場で行われています。
しかし、毎日の中で、相手のことを考えたちょっとした行い、人知れずこつこつと頑張っていることなどを、日常的に継続して表彰できる場をつくりたい。その場を通じて、子どもたちや先生方、学校に協力してくださる地域の方の素晴らしさを広く知っていただきたいという思いを強くし、どのような方法があるか、あれこれと案を考えていました。
そんな時、市役所の他課の職員から「福山夏まつり花火大会の後、城北中学校2年生の生徒2名が、河川敷のごみを自主的に収集し、約1時間をかけ、大きなごみ袋を何度もごみステーションに運んでくれた。とても助かったので、ぜひ、学校に伝えてほしい」という連絡をもらいました。
まだ、賞の名前も決まっていませんでしたが、こうした行動が、そこにいた人だけでなく、報告を受けた私たちをも元気にしてくれることから、「福山学校元気大賞」と決めました。また、「行い自体が、あなたの素晴らしさそのものである」という気持ちを込め、子どもたちへの表彰を「あなたが素晴らしい部門」と名付け、早速、2学期の始業式の日に、城北中学校体育館で第一回目の表彰を行いました。
─「あなたが素晴らしい」というネーミングに、三好教育長の子どもたちへの思いが込められているのですね。これまでに、どれくらいの表彰をされてきたのですか。
教育長:部門賞は4つの部門(※)からなり、市民の皆様や、学校、地域の方から推薦を受け、随時、学校へ行って表彰状を手渡しています。
昨年度までに、「あなたが素晴らしい部門」は72回の表彰で229人・24団体、「先生ありがとう部門」は31回で26人・6団体、「地域一丸部門」は44回で16人・43団体、昨年創設した「挑戦・継続→快挙部門」は2回で2団体の表彰を行いました。
今年度は、「あなたが素晴らしい部門」で、転んでけがをしている小学生の傷の手当てをした中学校2年生、学校のきまりを見直すために調べたことや考えたことをレポートにまとめ、校長先生に報告するなど主体的に行動した小学校5年生、「地域一丸」部門で、幼稚園の子どもたちに毎月楽しい合唱を披露してくださっている地域のコーラスグループなど、4部門で計22回、45人・7団体の表彰を行っています。
─その全てに、三好教育長が直接表彰に行かれているのですか。
教育長:はい。朝会や全校集会などの時間に合わせて学校へ行き、創設以来、全ての表彰状を手渡しています。
最も表彰の回数が多い「あなたが素晴らしい部門」では、表彰状の最後に「これからも かけがえのないあなたのままで 自信を持って進んでください。日本の未来を頼みます。」という言葉を記し、伝えています。「日本の未来」と聞くと、会場の空気がぐっと引き締まる感じがあり、表彰される子どもだけでなく、見ている子どもたちにもしっかりと伝わっていることを実感します。素晴らしい行いをみんなでお祝いしようという温かい雰囲気に包まれ、私自身、元気をもらっています。
また、表彰後の挨拶で、全ての子どもたちに「一人一人、かけがえのない素晴らしい存在なんだ」ということを話しています。それは、福山100NEN教育4年目の今年、テーマに掲げている「カラフル」そのものです。自分自身はもちろん、それぞれがそれぞれであることの素晴らしさを、子どもたち自身でしっかりと持ってほしいと思っています。そして最後に、「私も、みんなに負けないように頑張ります。」としめくくっています。
─子どもたちは、三好教育長のお話を、どんな様子で聞いていますか?
教育長:それも、それぞれです。じっとこちらを向いている子もいれば、少しうつむき加減の子、本当にさまざまです。しかし、ちょっとはにかんだり、一瞬顔を上げたり、友達と顔を合わせてにっこりしたりと、それぞれの姿で、しっかりと聞いてくれていると思います。
昨年12月、リーデンローズで行われた「明るいまちづくり推進大会」では、各賞の初年度の受賞者を招待し、インタビューをしながら、市民の皆様に元気大賞を紹介しました。
創設のきっかけとなった城北中2年の生徒は、高校2年生になり、当時を思い出しながら「これからも進んで行動することを大切にしたい」とうれしそうに語ってくれました。身長もぐっと伸びて、顔も大人っぽくなっていましたが、その笑顔は、表彰の後、一緒に写真を撮影した時の笑顔そのままで、その時の様子が鮮明に思い出されました。
そうした姿を見て、改めて、表彰を通して、子どもたちの素晴らしさや教職員の頑張り、地域・保護者の方の協力などを多くの方々に知っていただきたいと思っています。
─今度は、直接、元気大賞の表彰式を取材させていただき、子どもたちの声を聞かせてください。
教育長:どうぞお越しください。これまでの部門賞の表彰者・団体と、受賞の言葉なども、教育委員会ホームページで紹介しています。
また、部門賞の他にも、一年間の教育活動の過程やさまざまな調査結果などを総合的に判断して表彰する「大賞」「優秀賞」「奨励賞」、知・徳・体の中で、一年間を通して、特に顕著な伸びや変化が見られた学校を表彰する「特別賞」があります。これらは、教育委員会会議で決定し、2月に市役所で表彰式を行っています。
昨年度の大賞は「城北中学校区(城北中・西小・樹徳小・久松台小・明王台小)」、優秀賞は「新市中央中学校区(新市中央中・網引小、新市小、戸手小)」、奨励賞は「駅家中学校区(駅家中・服部小・駅家東小・駅家西小)」、特別賞は「引野小学校」と「鞆中学校」が受賞しました。これまでの受賞校・校区もホームページで紹介しています。
子どもや教職員の頑張っている姿を見かけられたら、ぜひ、学校や教育委員会に電話等でご連絡していただきたいと思います。よろしくお願いします。
引き続き、子ども一人一人の学びを大切にした「子ども主体の学び」づくりに全力で取り組むとともに、多様な学びの場の一つとして、地域や常石グループのご支援、ご協力をいただきながら、伸びやかで創造性のある「イエナプラン教育校」の創設に取り組んでまいります。
びんまる2019年11月号より
※最新の情報とは異なる場合があります。
ご了承ください。
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