• 三好教育長に聞く福山100NEN教育

三好教育長に聞く 福山100NEN教育 第58回

「福山100NEN教育」9年目を迎えました

― 「福山100NEN教育」のこれまでの主な取組をピックアップして年表にしていただきました。9年目を迎えた今、取組の成果として見えてきていることをお聞かせください。

教育長:子どもたちや教職員のチャレンジによって、行事の練習も含め、日々の授業が確実に変わってきたと実感しています。この8年間、学びを中心に、「主体的・対話的で深い学び」「多様な学びの場の提供」「学びをつくる教職員研修」「元気・笑顔で学び続ける教職員」という4つの柱で取組を進めてきました。この柱に沿って、これまで議会で答弁してきた数値や子ども・教職員の姿を紹介します。

* 主体的・対話的で深い学び
子どもの状況や学習内容によって、一斉と個別を組み合わせ、対話的・体験的に学んでいます。「話し合う活動を通じて、自分の考えを深めたり、広げたりしている」と回答する児童生徒は、8年間で約10ポイント以上増えています。教師主導の授業から子どもが自ら学ぶ授業へと変わってきたことが、すべての教育活動へとつながり、とくに他者と協働して問題を解決する力に関する項目に大きな伸びが見られています。

* 多様な学びの場の提供
自分のペースで学習できる校内フリースクールを設置する学校が増えています。空き教室や学校図書館も学びの場として活用し、学習端末を用いたオンライン授業も行っています。一人一人に応じた丁寧な取組を継続し、校内外フリースクールを設置した2019年から市の不登校の増加率は、広島県の増加率を下回っています。
学校図書館改装は、今年度で全校完了します。改装後の図書館は、居心地がよく、知的好奇心を刺激する場となり、利用者数、貸出冊数ともに増加しています。

* 学びをつくる教職員研修
学習指導要領に立ち返り、教材研究を中心とした研修を通して、授業実践力の向上を図っています。「子ども主体の学び」へチャレンジしてきた過程があるからこそ、教科を学ぶ目的への理解が深まっています。教職員は、子どもと一緒に考える時間の楽しさや教科の面白さを実感しています。日々の授業を大事にし、子ども一人一人と向き合ってきたことが、教職員への信頼感に関する数値の高さにつながっていると考えています。

* 元気・笑顔で学び続ける教職員
校務補助員・学校図書館補助員・部活動指導員等を配置して、教職員の負担を軽減しています。教職員が子どもたちと自ら挑戦し続ける姿をめざし、超過勤務縮減と元気に笑顔で勤務できる環境づくりに取り組んできました。日々の授業づくりや子どもたちと向き合う時間の確保につながっています。教職員のやりがいは、一日の大半を占める授業に関することと相関関係が強いことが、教職員アンケートからわかっています。

― このように数値として表れてくるとうれしいですね。

教育長:年表に示している8年間の取組一つ一つが繋がって、今の数値があると思っています。ただし、これらの数値は市全体を表したものであり、一人一人の子ども・先生によって当然異なります。学校内でも、学年・学級別に見ると、状況は様々です。個と集団で異なる状況もしっかり見ながら、この間取り組んできた「子ども主体の学び」を進めていくことが、それぞれの現在地をより前へ、より高くしていくと考えています。

― 数値には表せない変化もあるのではないですか。

教育長:そうですね。前回紹介した行事の練習の過程などは数値にできませんが、確実に変わってきている子どもと先生の姿があります。もっといい演奏にするために自分たちで考えて練習していることが、表情や態度に表れていました。ある学校では、休憩時間になっても、子どもたちの中から自然に練習が始まり、楽しそうに演奏している表情、音楽に包まれて、感動で胸がいっぱいになりました。子ども一人一人の気持ちが音となり、みんなで創る音楽とはこういうことなんだと全身で感じた幸せな時間でした。この感動は、数値どころか、言葉で言い表すことも難しいです。
変えることは、本当に大変です。時間もかかります。この間、試行錯誤しながらも、着実に取組を進めてきたことで、日々の授業を中心とした教育活動全体が変わってきています。2024「福山100NEN教育」9年目、みんなで開いた扉の向こうに新たなステージが見えています!

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