• 備後の顔

木製品に特化 100年企業を継承した4代目

㈱近藤

㈱近藤 社長 近藤 康夫さん

福山市出身の39歳。県立松永高卒。家族は妻と小学4年の長男、同1年の長女。

社内の合言葉は「木製品ならできない物はない」。

要望に応じて、食器洗浄機でも洗える木製の耐熱食器も製造する。

付加価値高め 小ロットに対応

 1919年創業の㈱近藤は、主に木製箱の製造を手掛ける。11月に社長に就任したばかりの四代目・康夫さん。「子供の頃から繁忙期には手伝ってきた、なじみのある仕事。せっかく続いてきた会社なので、継承しないのはもったいないと思った」

 仕出し弁当やおせちの容器など食品用ケースが主力だ。折り箱は一般に「わっぱ」と呼ばれる丸い弁当箱「丸折」、慶事や仏事に使われる角を落とした上品な「角丸」などがある。注文は一つから受けており、サイズもデザインも用途に応じて自由自在だ。

 五年前に入社するまで、さまざまな業種を経験してきた。「後継者だと思っていた兄は結婚を機にパラグアイに住むことになり、五人兄弟の末っ子である私が社長になった。直前まで道路工事を手掛ける会社で働いていたおかげでCADが使え、今の仕事にも役立っている」

 少年時代から使い慣れた機械は今も現役だ。木製品全般の製作に加え、コンピューター制御式のNCルーターを使い、塩ビやアクリルの文字を切り抜いて仕上げる木製看板も手掛ける。

 取材した12月上旬、工場ではおせち料理用ケースの生産がピークを迎えていた。「コロナ禍でテークアウトの弁当箱の需要が増えているが、価格面では大手の製品やプラスチック製の使い捨て容器に太刀打ちできない。容器の付加価値を高めながら、小口のお客さんを大切にしたい」

PAGE TOP