• ご朱印帳のすゝめ

明尾山 寒水寺

明尾山 寒水寺

 標高140メートルの山中に位置し、神辺平野を一望できる寒水寺。清閑で荘厳なそのたたずまいは、訪れる人の心を自然と穏やかにしてくれる。
養老2(718)年、密蔵上人の開基と伝えられる古刹。一時期天台宗だったが、のちに空海(弘法大師)がこの地を巡錫(僧が諸国を回って布教すること)した後、真言宗に改宗したといわれている。客殿裏には、大師が杖を立てたところ水が湧き出たと伝えられる井戸があり、どんなに日照りが続いても一度も枯れたことがないという。
寒水寺に向かうためにあったと伝わる旧参道の門跡にはせんだんの古木があり、その樹下に地蔵二体を半浮き彫りにした巨岩、さらに登ると仰ぎ見るように地蔵が彫られ、山岳寺院として威容を誇っていたことがうかがえる。
かつては七堂伽藍を配し、一二子院があったとされる同寺の境内からは一部に金箔が残る白鳳〜奈良時代の作と伝わる希少な「独尊立像塼仏」や「小型独尊塼仏」なども出土している。これらの貴重な資料は福山市神辺歴史民俗資料館で11月26日まで開催されている秋季企画展「神辺の文化財展」に出展されている。

正法明如来の自作と伝えられるご本尊の十一面千手観世音菩薩は、古来より安産のご利益があるとされる。開基以来しばしば火災に遭ったが、いずれも難を逃れ、霊験あらたかな観音様として信仰を集めている。

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