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草むらのヒーローたち No.074

草むらのヒーローたち

人生いろいろ、車生もいろいろ。

備後の道路脇で見つけた 朽ちゆく車たち。

凹み、錆び、コケ、ヒビ割れていても美しい 古き時代の宝物。

どんなドラマがあったのだろう…。

誰が呼んだか、草むらのヒーローたちを 小学6年M.Kくんが撮りました。

 

 

 

第74回


草ヒロ(廃車)data ■メーカー:トヨタ ■車種:ミニエース(1代目UP100型)2ドアキャブオーバートラック ■年代:1967年〜1975年 ■場所:岡山市南部


ビール麦の穂が色づき、収穫のピークを迎えようとしていた「晴れの国」岡山県南部の干拓地。
まるでパッチワークのような、美しい黄金色の畑を縫う農業用水路の橋の上に佇んでいたのはアスペン・ホワイトのミニエースくん。
トヨタ商用車伝統のネーミングである「エース」を与えられた小型キャブオーバー型トラックのちっちゃな彼。
今では希少車な上、さらに消防車仕様というのがレア度満点。
ネットで事前確認した後での訪問にもかかわらず、実際に目の当たりにした時の感動は大きく、親子で大はしゃぎ!!
遠くまで見に来た疲れを吹っ飛ばしてもらうには十分すぎるちっちゃな大物でした。
顔には今なお輝く桜モチーフの消防団エンブレム。
ドアにはうっすらと我ら地元広島の消防団の名前が残って、自然に色褪せたボディはいい塩梅。
生まれてもうすぐ55年の彼。
どういった経緯があったのか。古い広島ナンバーを掲げて遠い岡山の地でたくましく実った麦と一緒に余生を過ごしているんだね。
荷台を這うホースや車内に転がるサイレン。
風格ある各種スイッチ類などは、当時の緊張感ある消火・防火活動のシーンが今でも想像できます。
それと同時にタイヤが4輪ともぺちゃんこなのは拍子抜け感があり「これじゃすぐに出動できんで」と淡々と言う息子の気持ちもなんとなくわかるような気がしました。
街の安心を大きな使命を持って守り続けてきたご老体の彼。
『老兵は死なず消えゆくのみ』
表舞台を去った今、この上なく誇らしげなエンブレムはそのままに、彼が成し遂げてきたものは忘れ去られていく…。
そしてただ自然に還っていく…。
みんなの憧れであるキミへ。現役時代の労苦を称え、今日までの消防活動に感謝します。本当にありがとう。

見学のしやすさ、風格のあるフォルム、ロケーションを含めて、文句なしの草むらのヒーローでした。

 

ちょっとうんちく

総領消防団のある総領町は、かつて広島県の中東部に存在した町。甲奴郡に属した。
2005年に庄原市及び比婆郡の全5町と合併し、新たに庄原市総領町となった。


ミニエースの車名の由来は同時期に発売した「ハイエース」に対して、小型トラックであることから「ミニエース」と命名。
1967年11月に発売した「パブリカ」のコンポーネンツを用いた小型商用車。当初「トラック(低床/高床)」と「パネルバン」のラインナップで、1968年8月に「バン」と乗用車登録の「コーチ(7名乗り)」を追加。エンジンを運転席の下に搭載する、キャブ・オーバー・ザ・エンジン型(いわゆるキャブオーバー)のデザインにして、限られた全長の中で荷台寸法を最長にとり、軽トラックより150kg多い500kgの最大積載量を確保した。さらに軽自動車と変わらぬ最小回転半径3.9mの取回しの良さも特長とし、価格は軽トラック並みとした。
エンジンは空冷水平対向2気筒OHV800cc・36PS (2U-B)。トランスミッションは4速MTコラムシフト。サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン/トーションバーの独立式、リヤがリジッドアクスル/リーフスプリングである。
1975年11月をもって生産終了した。


カタログ掲載の自慢のコピー
いまお持ちのご不満を一挙に解消する
トヨタが生んだ理想のミニ・トラック

2回の手間を1回にする<積載型>
●500kg積み
●長尺もの(3x 6尺)がラクに積めるこのクラス最大のフラットなデッキ
●しかも、超低床式床面地上高 525mm
●特製鋼板の頑丈な荷台

庭先でコンニチワ型の<機動型>
●最小回転半径3.9m、軽トラックなみ
●抜群の登坂力
●最高時速110km 連続時速100kmノントラプル
●長いホイールベース、広いトレッド、低い重心
●空冷。夏にオーバーヒートを知らず、冬も始動一発すぐとび出せる

お店の繁昌に直結する<経済型>
●軽トラックなみの低価格
●ガソリン1Lで実に21kmの超経済燃費、足まわり車検まで無給油
●2年または5万km長期保証、ラクな長期月賦方式
●全トヨタを動員する完べきなサービス網

安心して仕事に打ちこめる<安全型>
●視界の広いフル・キャブオーバー型
●運転がラクな前進4段オールシンクロ・ミッション
●2スピード大型ワイパーとウォッシャー
●見やすい丸型メーター
●豊富な安全パッドと完べきな防眩処置
●大型ランプ類
●強力ブレーキ
●頑丈なボデー

乗りまわさずにはいられないく快適型>
●たくましさと美しさが融けあったカッコいいスタイル
●2人乗り
●しかも広々とした室内
●広い視界
●2つのベンチレーター
●ヒーターも標準装備
●乗り心地のいいシート。背もたれ角度は3段調節式

酷使されるのが大好きなく耐久型>
●パブリカで実証ずみの高性能エンジン
●頑丈な箱型断面の梯子型フレーム
●合理的な設計に加え理想的な前後輪重量配分、ビクともせぬ足まわり

スペック
車両形式 UP100
重量 600kg
全長 3480mm
全幅 1380mm
全高 1580mm
ホイールベース 1950mm
エンジン形式 U
エンジン種類 空冷2気筒水平対向式
排気量 790cc
最高出力 36/4600 kW(PS)/rpm

生産工場:高岡工場 [~1969年12月]、日野自動車工業(株) [1970年1月~]、ダイハツ工業(株) [1970年1月~]、架装:不二自動車工業(株)
販売会社:トヨタパブリカ店

トヨタ自動車 75年史 HPより抜粋



※この車は助手席にヘッドレスト、シートベルトがあることから、1969~1970年のUP100である
と見られる。
※最低地上高175mm、荷台長1920mm、荷台幅1255mm、荷台高275mm、乗車定員2名、最大積載量500kg、最高速度110km/h、最小回転半径3.9m、タイヤ(前)5.00-12-4PR (後)5.00-12-6PR、最大トルク6.3m-kg/3000rpm、タンク容量29L、クラッチ乾燥単板式、トランスミッション前進4段後進1段オールシンクロメッシュ

 

※懐かしい廃車たち(出来るだけ天然モノ)を小学生撮影隊と一緒にのんびりと探索・撮影・紹介している趣味コンテンツです。
※内容については正確な情報とは限りませんのでご了承ください。
※撮影場所については、部品取りやいたずら防止のため一切シークレットです。
※掲載後の情報提供や現存確認は一切しておりません。
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