塞神の小社

疫神・悪霊を防ぐ 塞神

No.327

 昔の村境や峠などに大きな石や社(やしろ)が祀られているのを見掛けることがあります。これは塞神かもしれません。
「古事記」に黄泉の国の話があります。亡くなった妻のイザナミノミコトに会いに行ったイザナギノミコトは変わり果てた妻の姿を見て逃げ出しますが、妻は追い掛けてきます。イザナギは黄泉の国の出入り口を大きな岩でふさぎ、その岩は生と死の境を守る神となったという話です。
ここから、辻や村の境などに石を据えることで、外から襲い来る疫神や悪霊を防ぐとされる塞神の信仰が生まれたといわれています。
塞神は行路の安全を守る神でしたが、江戸時代には縁結びや出産、幼児守護などの神としての性格ももつようになりました。塞には幸・妻・障・歳・斎・賽の字が当てられることもあります。
水呑町と田尻町の境となる峠に、塞神の小社が祀られています。鞆から福山に魚を運ぶため、重い荷物を積んだ大八車を引いてこの峠を越えるとき、塞神に道中の無事を祈ったと伝えられています。このことから地元では「さいの垰(たお)」とも呼ばれています。
赤坂町には神村町との境となる峠付近に、旅路の安全や病気平癒を願い、三角形の自然石2体からなる塞神が祀られています。
このように今も日常の安全や平穏無事を祈り、辻や峠に塞神が祀られています。
田尻町と水呑町境の塞神

赤坂町と神村町境の塞神