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希少種のスイゲンゼニタナゴ 実験で自然繁殖を確認 野生復帰へ大きな成果

保全地域協議会

広島県内では芦田川水系のみで生息が確認されている絶滅危惧種・スイゲンゼニタナゴの自然繁殖に、福山市などが成功したことが分かった。7月8日に開催された保全地域協議会で報告された=写真上。生育環境が近年悪化している中、関係者は「野生復帰への大きな一歩」と喜んでいる。スイゲンゼニタナゴは、山陽地方の限られた水域に生息する希少なタナゴ類。絶滅の恐れがある野生動植物の種の保存に関する法律により、国内希少野生動物種に指定されている。市では、有識者や関係機関、地域住民らで組織する同協議会を2014年に設立。保全や啓発の取り組みを行ってきた。

協議会のメンバーでもある盈進学園(同市千田町)教諭の古本哲史さんが、20年以上にわたり人工授精によって飼育してきたが、こうして生まれた個体の自然繁殖能力は疑問視されていた。同協議会では昨年度から、これらの個体の自然繁殖能力を確認する実験に着手した。市内の旧保育所跡のプールを繁殖用の池とし、スイゲンゼニタナゴの幼魚31匹を昨年7月に放流。雌が卵を産み付けるイシガイやマツカサガイなどの二枚貝も投入した。今年5月に稚魚5匹が確認されたのを皮切りに、6月下旬までに33匹を確認したが、死んだ魚もいて最終的には26匹となった=写真下は確認された稚魚(同市提供)。人工繁殖した個体が自然繁殖能力を有することが明らかになる例はほとんどないといい、協議会会長の中田和義・岡山大教授は「学術的にも大きな意義がある」とする。

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