福山郷土の偉人研究会

幕末の福山藩主 阿部正弘の印章3点発見 22年に福山城博で公開へ

幕末の福山藩主で、黒船来航時の老中首座だった阿部正弘(1819─1857)が使っていたとみられる印章3点が発見されたと、歴史愛好家グループ「福山郷土の偉人研究会」(田中宏行会長)がこのほど発表した。正弘の印章が発見されたのは初めて。2022年8月にリニューアルオープンする福山城博物館で公開を予定する。書画に押印する「関防(かんぼう)印」「白文(はくぶん)印」「朱文(しゅぶん)印」の3点=写真上。ろう石製で持ち手にハスの彫刻が施されている。作品の右肩に押印し、自分が好む語句を刻字する関防印には中国の古典の一節「居安思危」が刻まれる。平安な時でも危難に備え用心を怠らないとの意味で、黒船来航という難局を切り抜けた正弘の日ごろの心構えがしのばれる。

姓名や雅号などを刻む白文印には「福山侍従」、朱文印には「阿部朝臣(あそん)正弘」=写真下=と朝廷の臣であることを示す文字が刻まれる。幕閣のトップだった正弘の朝廷に対する心情を示すものとして興味深い。阿部家歴代当主の印には「侍従」や「朝臣」を使った例はないという。田中会長が16年、鎌倉市の古美術商とやりとりする中で、同市内の人が所有する印章の刻印が、自身が持っている掛け軸に押された正弘の押印と同じではないかと推測。古美術商を通じて所有者に連絡し、福山城博物館で調査を行うことになった。