福山市鞆の浦歴史民俗資料館

歴史民俗資料館に寄贈 「鞆津」銘、室町初期の刀剣 鞆鍛冶の作で現存最古か

 福山市鞆の浦歴史民俗資料館(福山市鞆町後地7536-1)は9月15日、室町時代初期の永享〈えいきょう〉期(1429〜1440)の物とみられる刀剣(脇指)が同館に寄贈されたと発表した。銘に「鞆津〈とものつ〉」と刻まれており、専門家も「初めて見る作例」とする。中世の鞆鍛冶の実態を知る上で貴重な資料となる。脇指は長さ39.8cm。「銘 備後鞆津薮下〈やぶした〉 アサ三〈ぞう〉」と刻まれている=写真上。アサ三は、当時の鞆の浦周辺で活動していた刀工集団の一員とみられる。同館によると9月8日、福山市日吉台の森岡正男さん(85)から寄贈を受けた。1974年に大阪府内で発見され、その後森岡さんの所有になったという。鑑定した広島県銃砲刀剣類登録審査委員の石岡清秀さん(福山市芦田町)は「刀の身幅や反りの特徴から、室町初期の作品と断定してよい」と話す=写真下。また「地鉄〈じがね〉が良く、選ばれた鋼を使っている。守り刀として、一定の財力がある有力者が注文したのではないか」と推測する。鞆鍛冶の手によるとされる刀剣はこれまで数点しか確認されておらず、この脇指は現存最古とみられる。「鞆津」銘の刀剣も初見。中世では「鞆」や「鞆ノ浦」と表記される例が多く、「鞆津」は近世以降に多い表記という。同館は「中世から鞆が港町として栄えていた証」とする。