猫とクリスマス パステル画作品展

「猫の気持ちがわかる物語」 電子書籍で改訂版を出版 福山在住の山口玲子さん

福山市在住の作家でピアノ講師の山口玲子さん=写真上=がこのほど、Amazonのキンドル版で電子書籍「猫の気持ちがわかる物語」(860円)=写真中=を出版。5部門で売上ランキング1位を獲得した。
山口さんは2008年、「ほのぼの猫生活」を自費出版。表紙の絵も手掛けたことがきっかけとなり、猫の絵を描き始めた。以来「人間と猫」シリーズを中心に作品展を開催。チャリティーコンサートの開催や猫グッズの販売のほか、これまで猫に関する本を2冊、電子書籍を3冊出版した。
「猫の気持ちがわかる物語」は、18年に文芸社から出版した「猫に生まれてよかった」の改訂版。タイトルを変更し、加筆修正してイラストを約90点入れた。イラストは山口さんと、猫つながりでインスタグラムを通じて知り合ったという鳥取県在住の細田純子さんが担当した。
生粋のノラ育ちの「まる」は、日々の糧を得ることに必死だが、自由を愛してやまないオス猫。しかしある日、不注意でトラックにはねられてしまう。瀕死のところを人間の「れれ」に拾われ、飼い猫として暮らすことになるーという物語。

「愛猫まるを主人公に、猫の目線で人間や社会を見つめ、猫の気持ちを書いた作品です」と山口さん。「単なる“猫本”ではなく、まるの気持ちに寄り添い、共に泣き、共に笑い、共に成長しながら原稿に向かいました」と振り返る。同作は間もなく、カナダで翻訳本が出版される予定。
山口さんは人と動物の命を大切にする社会の実現を目指し、市民グループ「ペットマナープロジェクトおのみち」に参加。プロジェクトでは保護猫の譲渡会や地域の清掃活動などに取り組む。活動内容はフェイスブック(「ペットマナープロジェクトおのみち」で検索)で発信中だ。
コロナ禍でペットブームに拍車が掛かる中、一度はペットとして飼い始めたものの、「お金がかかる」「懐かない」などの理由で捨てられる猫も多い。「『かわいい』や『癒やされる』はあくまでも人間の気持ち。この本を読んで、人間の身勝手な行動により住んでいた場所を追われてしまう猫の気持ちを、少しでも感じてもらえれば」と話す。

次のプロジェクト始動

山口さんは現在、次回作の準備を進めている。「101匹猫ちゃんプロジェクト」と銘打ち、山口さんの仲間の愛猫をイラスト化して本に掲載する。「皆さんから送ってもらった写真をベースに、細田さんがすてきなイラストに仕上げてくださっています」。集まった写真はすでに101匹を超え、全ての猫をイラストにして掲載するという。
また12月26日まで、「コミュニティハウスumbrella(アンブレラ)」(同市今町3-23)で山口さんの「猫とクリスマス パステル画作品展」=写真下=を開催している。入場無料。11〜17時で火曜が休み。
山口さんが描いた猫の作品約25点を展示し、クリスマスカードなどオリジナルの猫グッズも販売する。山口さんは「本や作品展を通して、命の大切さを呼び掛けたい。飼育放棄の流れに歯止めをかける一助となれば」と話している。